時は2021年4月21日(水)、桜前線は北上して桜吹雪よなって青森の弘前にやっと辿り着いた。さて今日は「衣食足りて礼節を知る」の巻。この歳なってようやく「頂きます」に「御馳走さま」の本当の意味が解った。
「いただきます」の語源は、「いただく」とは神様にお供えしたものを食べるときや、位の高い方から物を受取るときに、頂(いただき。頭の上)に掲げたことから、「食べる」「もらう」の謙譲語として使われたことに由来している。やがてそれが、食事を始める時に「いただきます」と言うようになって、食前のご挨拶として定着した。
さて、「いただきます」の意味。1つには、食事に携わってくれた方々への感謝。料理を作ってくれた方、配膳をしてくれた方、野菜を作ってくれた方、魚を獲ってくれた方など、その食事に携わってくれた方々へ感謝のこころを表す。
2つ目は、食材への感謝。肉や魚はもちろんのこと、野菜や果物にも命があり、「○○の命を私の命に代えさせて貰います」と食材に感謝する。こちらの方が的を射てる。
「にんじんの命を私の命にさせていただきます」と言ってはパクッ、「卵の命を私の命にさせていただきます」と言ってはパクッ、と唱えて食事を摂ることを習慣にしているご家庭もあるようだ。
これは、ネットの載っていた話だが、子ども学校には給食費を払っているのだから「いただきます」を言う必要はないと学校に申し入れた親もいるという話。こうなると本末転倒、世知辛い世の中になったものだと嘆く。
金を払っているからお店で「いただきます」を言う必要はないと考える人が少なからずいるそう。いずれもお金が中心で、「いただきます」の6文字に、生きる姿勢が垣間見える。
一方、「ごちそうさま」の語源というと、漢字で書くと「御馳走様」。昔は今のように冷蔵庫もスーパーマーケットもなく、食材を揃えるのは大変なことだった。「馳走」は走りまわるという意味で、食事を出してもてなすために奔走する様子をあらわしている。
そして、いろいろと大変な思いをして食事を準備してくれた方への感謝を込めて「様」がつき、食事のあとに「御馳走様」「御馳走様でした」と挨拶するようになったとの由。
かの如く、日常の挨拶がこころの栄養や潤滑油になる。食前に「天におわせます神よ・・アーメン」といった宗教色の濃いご挨拶もあるが、「いただきます」、「ごちそうさま」の二つの言葉には、日本人固有の考え方や食文化や奥ゆかしさを色濃く反映している。 改めまして「いただきます」、「ごちそうさまでした」。