Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

差別と偏見

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   松本清張原作「砂の器」こりゃあ~泣けましたぜ!何人もの彼女とご一緒に映画鑑賞したが、中には涙をぐっと堪える彼女もいれば、隣の席で大泣きされて困ったことも思い出す。 

 

  この映画1974年の作品。時代背景は、戦前・戦中・戦後に設定されていて、ハンセン氏病=ライ病をテーマにした一大悲劇だ。この映画には、すさまじい差別と偏見が描かれている。それは、現代のエイズなどを遥かに上回る。当時はこのライ病は、親戚はおろか末代まで祟ると怖れられていた。そして、伝染の虞もあってみな離島やへき地に隔離された事実もある。

 

    不幸にもこの病気にかかったら、仕事を失うばかりか社会から抹殺される運命が待ち受ける。結婚は勿論破談、家族や親戚縁者の様々な行く末には、地獄の世界があった。だからこそ、ライ病患者は、人知れず故郷を去り、誰とも別れをせぬ儘に人知れず亡くなるしかなかった。

 

    この映画のあらすじはこうだ。ある日、蒲田の操車場で1人の老人(緒方拳)の死体が発見される。その老人は元駐在所勤務の巡査で、生前は大変人望があった人物。若い頃から非常に面倒見が良く、地域の人から尊敬を集めていた御仁。その人が老いて定年後、地方の田舎から初めて伊勢参りの旅に出る。息子や家族から暖かく送り出されての人生で初めての自分へのご褒美のような幸せな旅になるはずだった。

 

    それがなぜ、喧噪に満ちた東京で殺されたのか?そこから所轄の刑事たちの執念の捜査を描いた(キャスト:丹波哲郎森田健作)ストーリー。その結果、殺された元巡査が操車場付近の喫茶店で、何者かと話していたことが分かる。捜査を進めるうちに、容疑者として浮かび上がる新進気鋭の音楽家「和賀英良」(キャスト:先ごろ亡くなった加藤剛)。

 

     和賀は今売り出し中の才能ある音楽家。有力代議士の娘との婚約も決まっていて、まさに我が世の春を謳歌している青年。しかし、和賀には秘められた過去があって、その秘密を知っていたが故に元巡査は和賀に殺される。その秘密が、和賀の父親がかつて「ライ病」患者であったことが判る。こんなシナリオから映画は劇的なクライマックスを迎える。

 

(今日のおまけ)

 旧優生保護法に基づき、知的障害者らが不妊手術を強制されていた問題が、にわかに社会問題化している。障害者をだますように手術を受けさせていた実態が明らかになり、各都道府県に対する情報公開請求が相次いでいる。  

 

     こうした動きは長野県でも同じで、先ごろ県が資料を開示した。1952年(昭和27年)度の旧飯山保健所の「事業概況書」によると、管内で不妊手術を受けた3人のうち強制の1人に対し、役場職員や民生委員が「根気よくなだめ、すかし、あらゆる手をつくし、最後、映画見物に連れていくという甘言でやっと目的を達した」と記されてある。

 

   残り2人は任意で手術を受けた兄と妹で、妹は未成年だった。妹が自ら手術を申し込んだことに触れ、概況書は「人も恐ろしがる手術を受ける気になったその殊勝の心がけに対してただただ感謝のほかない」と記されている。

 

   県の本庁から旧松本保健所に助言したとみられる別の文書では、性的暴行の予防を理由とした手術申請書について、過去に同様の理由が審査会で認められなかったことを受け、「本人保護のため必要」と書き直すよう促されたとある。