気象予報で十何年かぶりの大雨とか、数年ぶりの猛暑とかがニュースで流れる。この表現はやたらと不安心理をあおるだけで、ピンと来ないのが実態だろう。非難勧告があっても非難するのは3%程度にとどまる。注意報や警報や何年かぶりの暴風雨といっても、すでにこの表現自体が感覚を麻痺させているのではないだろうか。
歌手でも芸人でも「15年ぶり」のステージとかいうが、これってこの期間の生活や闘病の様子などが語られないまま「何年ぶり」だけが強調されると、当事者はこの間は全くの空白期間だけで、何もしていなかったように聞こえてしょうがない。
キャスターやMCは、ほかのニュースと同じく無感情に淡々とこの「ぶり」をやたらと繰り返して使いたがる。
ここで、この「振り」について国語辞典で調べてみると・・
〔時間を表わす語に付いて〕(期待される)その事態が実現するまでに、予測される以上のそれだけの時間が経過することを表わす。『新明解国語辞典 第七版』とある。
つまり、「ぶり」には思ったよりも、予想を超えて時間がかかってしまったというニュアンスがある。でも、最近は予想や想定を超える事象や事態ばかりが多く、あまりこの「ぶり」には驚きも、感動も、ショックさえ覚えない。そのうち「1年ぶりのリーグ優勝」とか「1年ぶりのお誕生日」とか、「3世紀ぶり戦国武将の戦い」などといった妙な表現が巷に溢れるのに違いない。
社会や周囲がいくら激しい表現や危機感や驚きを煽るような表現を並べたところで、これでは当事者は「ああ、そうですか!」程度で現実をやり過ごしてしまいリスク回避の準備さえ行わない。それより仲間内や元カレや元カノが街角で偶然に出会った時に「お久ぶり」といわれた方が、なぜか新鮮さや驚きを感じる。
(今日のおまけ)
利子計算は初日不算入で翌日から起算して応当日の前日を満了日とする。つまり、9月1日に組んだ定期預金の満期日は9月2日の前日9月1日ということになる。まどろっこしい預金規定だが約款にはそう定められている。
では、今日が5月5日で晴れだったとして、前回晴れた日が5月2日だったとしよう。そして5月3日と4日の二日間は雨(曇り)だった場合、これを何日ぶりの晴れ間というか?
この場合は前回晴れた初日を算入し次回晴れた日の前日までをいう。
したがって、答えは「3日ぶりの晴れ間」ということになる。
ところで、我が家の生活と心は夏が終わったと思いきや秋の長雨で、一向に晴れ間が見られない。この徳兵衛、前回、晴れた日がいつだったのも忘れてしまった。