Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

サチコ

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  「幸せを~数えたら片手にさえ余る~♪、不幸せかぞえ~たら両手でも足りない~♪」で始まるこの歌。唄:「ばんばひろふみ」、楽曲「サチコ」のイントロだ。何故か昨晩はこの歌が頭に浮かんだ。

 

 当方が社会人になってから全幅の信頼が置け山仲間でもあり、今でも夫婦ともどもお付き合いさせていただいているN氏から昨夕、当方の携帯電話に突然連絡が入った。「秋葉原で会いたい」という。酒席への誘いかと思いきや、心持、深刻なご様子の御大。早速、着替えをして電車に飛び乗った。二人で小さな小料理店に入ったが、御大は珍しく酒に手を出さず、お茶ばかりを飲んでいる。

 

   愛煙家のN御大「今日で煙草を止めるから、最後の1本を一緒に吸ってくれ」という。丁寧にその理由を問い質すと、近くのM記念病院での検査の結果「膀胱がん」の疑いが強いとの所見が出たとの由。外見はそんな風に見えなかったが、本人の心の内は複雑で不安だったのに違いない。当方「えっ!」というのが精一杯で返す言葉見つからず、涙を堪えるのがやっとだった。

 

   奥方様に伝える前に当方に連絡してきたのだ。何も答えられず御大が喋る症状や検査内容にただ頷くだけだった。それというのも御大は18年前、都立病院で片方の腎臓に癌が見つかり全摘手術を受けている。遠隔転移ではないにしても再び癌に蝕まれた。今後カンファレンスを経て治療方針が決まり来月初旬に第1回目の手術の予定だそうだ。癌の顔つき(浸潤度や拡がり)をみて2回目の手術をするという。

 

  「今の医療は秒進分歩で進んでいるから、きっと治りますよ!」と月並みの励ましをしたが言葉が続かない。別れ際、最後の煙草1本を2人で吸った。ゆっくりと紫煙があがり両切りピースの独特の香りが周りに漂った。

 

  (今日のおまけ)

   還暦を過ぎたころから良い話は少なく、圧倒的にこんな話が「両手で数えても足りないくらい」多く舞い込んでくる。これも自分自身の年回り、宿命と現実を受け入れるしかない。さほど多くの交友関係を持たない当方、唯一無二の御大にもしものことがあれば・・・と、つまらぬことをついつい考えてしまう。

 

  当方の病気(病巣)は母が亡くなってから見つかった。そして御大も春先、お母様を送り文京区本郷の寺に墓を建立した。納骨、初彼岸を迎えたばかりのこの時期の出来事だ。  御大も当方も亡くなった両親が成仏できず、淋しい余り涅槃からお呼びをかけているとは思いたくないが、それにしてもこうもご難続きだと、そう思いたくもなる。寝苦しく目覚めの悪い秋の夜がしばし続く。