Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

大島康徳氏を偲んで・緩和ケア(3-2)

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 緩和ケアとは、積極的な治療を行わないことをいう。だから患者本人が納得しなければケア病棟での対処は困難となる。ならば家庭での療養はというと、本人や家族にとって辛い時間が訪れる。それでは再び病院と相談したところで再入院なぞ叶うべくもない。

 

 家族の中には、まだ抗がん剤などの治療を続けたいせたいという切望もあるが、ある意味ではこのケアは治療断念の死刑宣告。ここで大切なのがかかりつけ医の存在だ。ただ、緩和ケアを早々に決断したところで、ケア病棟への入院は難しいのが現情だ。となると転院か在宅ケアの二者択一。入院が叶わず在宅ケアをするにしても、病院の設備と環境は格段に違う。だから社会福祉士介護士、近隣の医療スタッフや第三者の協力は欠かせない。それでもそれには自ずと限界がある。

 

 そのうえ、それに認知症でも発症したらまず医療施設には入院できないことを覚悟しておくべきだろう。当然にしてそうした患者は徘徊や大声を出す等の行為があるから病院側はそうしたリスクを取らないので、緩和ケア+認知症のがん患者でもよほど重篤でもない限り緩和ケアのための入院は極めて難しくなる。

 

 そうなると、患者は(予約専門)外来診療対応となるのだが、三重苦を抱えた患者が一人で通院できるはずもなく、家族はもとより、周囲に大きな負担を強いることになる。先ほど述べたように、これを家族だけで片つけようとすると家族全員が共倒れになる。だから介護士、ケアマネなどの第三者の手助けや保険が絶対に必要となる。

 

 緩和ケアの基本は、身体や気持ちのつらさを和らげる治療やケアで、リハビリテーションなどを積極的に行うだけだ。冒頭の通りがんの進行を抑える積極的な治療(抗がん剤投与など)は一切行わない。そのうえ、心電図モニターや人工呼吸器の装着、人工透析も行なわない。ただ、ホスピスに入れば酒もたばこも全部オッケイで最終章を愉しく過ごせるらしい。

 

 もっとも、カネと地位と名声があれば有料個室でその時が来るまでゆったりと余生を過ごすことも出来よう。ただ、コロナ禍の折、原則、どの施設でも親族であっても面会は禁止。たとえ、会えるにしてもガラス越しかリモートだから、家族と言えども患者の手さえ握れない。

 

 おそらく、亡くなった大島康徳氏相当なご苦労をされたはずだ。ブログを拝見する限りそんことを微塵も出さず毎日、朗らかに明るく振舞っていた。ご夫婦の愛情、家族の協力なくして到底叶うものでもない。すべてのタイミングにおいてそれが良かったのか悪かったのかは誰も判断できない。ご本人は少しの間でも温かい家族の元に戻れて幸せだったのに違いない。

 

 当方も大なり小なり同じ境遇にある。そうした設計図や予想図は未だに描けていない。5年生存確率をクリアするまでにあと1年半。氏はその手前で果ててしまった。亡くなる前の27、28日のブログで近々最期を迎えることを夫婦が覚悟したと読めた。

                                  再び合掌