日本経済新聞の最終面に連載されている企画だ。7月に入って作家で近代教授の奥泉光氏の投稿が連載された。なかでも「新所沢団地」と題した記事に惹かれた。
著作権上、問題があるのでさわりだけを以下に引用する。
「自分は五歳のとき、東京の大田区から埼玉県の所沢に引っ越して、小学校から大学へ入る頃までを過ごした。住んだのは、一九五〇年代から六〇年代にかけて西武線沿線に作られた団地のひとつ、新所沢団地は雑木林を伐(き)り拓(ひら)いて造成された団地だった。当時の日本住宅公団の団地は、いかにも団地然とした箱形の四階建てのほかに、団地好きのあいだで人気の星形住宅などが建てられ、ヴァラエティーに富んでいたものだが・・・」
この記事を読んで妙に懐かしい気持ちとなった。掘り炬燵にマメ炭の焼けた臭い、麻で出来た蚊帳匂い、ヘチマが垂れ下がった下での行水、ちゃぶ台にぶかっき氷!歳を取ったせいなのか妙に昔を懐かしむようになった。
ぼけ老人(←差別用語)は、昔のことは良く覚えているが昨日のことは覚えていない。昨日朝昼晩食のメニューが思い出せますか?それが出来ない場合は、明らかに認知症なのだ!
当方、書くこと、画くこと、描くことは億劫ではない。むしろ、インドアとして楽しんでいる。このブログもそうだが、思いついたこと、目にしたこと、昔の想い出(←白い白球、赤面が赤くなると同じ)をツラツラ書き続けている。
先日、ある方から「毎日、楽しみに読んでますよ」とのメールをいただいた。アクセクでもなければアクセス数でもない。こんな一言に嬉しさがこみ上げる。
(今日のおまけ)
「千の風」はもとより、風にまつわるテーマは小説に限らず、楽曲にも多く採り上げられている。「風に吹かれて」「風立ちぬ」もそうだしシューベルツの「風」もある。 そんな中でも、ノスタルジックな香り(匂いでもなければ臭いでもない)がするのがTHE BOOMの「風になりたい」だ。
「何ひとついいことなかったこの町に・・」という厳しい現実を表しながら、それでも「生まれてきたことを幸せに感じる・・」というフレーズが畳みかけてくる。これがアップテンポのサンバのリズムに妙に合う。 そして極めつけは、「天国じゃなくても、楽園じゃなくても、あなたに会えた幸せ 感じて風に~なりたい・・♪」という一節が妙に郷愁を誘う。その昔、貴女に出会った頃のように・・。