必ずしも正面から向き合うことばかりが病気との闘い方ではない。自分の人生を最後まで自分らしく生きるために、治療を拒否する「逃病」という選択をする人も大勢いると聞く。
標準的治療で、余命が確保されても抗がん剤や放射線治療で、極度の副作用に苦しめられることもある。「逃病」で余命が想像以上伸びることだってある。
終わりは終わりとして誰しもにやって来る。その日のためにどのように生活の質(QOL)を維持し高めていくかを闘病前から考えていた方がいい。
「頑張らない」ことが、自己免疫力を高めることだってある。
例えば、在宅ホスピス緩和ケアを受けた末期がん患者のうち、約3割もの人が余命宣告より長生きするというデータもある。闘病のストレスから解放され、不安や痛みを取り除くことができれば、余命を延ばすことに繋がる。知り合いの看護師長に訊いた話だが「ホスピス」や「緩和ケア」では、「酒」も「煙草」自由に嗜むことができるそうだ。
一方で、がんを放置することには相当なリスクを抱えることとなる。がんは成長を続けると、やがて腐って形が崩れ、皮膚を突き破ることがある(これを「花が咲く」という)。そして、しばらくすると臭い(腐敗臭)がきつくなる。このため何度も腫瘍部を切除する患者も多い。
いやな話だが、向学のため。がんが進行すると、まず食が細くなり、毎日目に見えて痩せる。さらに進むと、今度は限られたものしか食べられなくなるので、栄養バランスが崩れて体が浮腫む。そして最後は体が食べ物や水分も受け付けられなくなって脱水症状となって、ウトウトしながら眠るように亡くなる。
(今日のおまけ)
機能不全は一度に来ない。呼吸は止まっても、心臓はしばらく鼓動を打ち続ける。爪も髪の毛も死後伸び続ける。最終的には、がんが神経まで侵食すると、鎮痛剤で和らげることしかできない。
でも、多くの場合、鎮痛剤を打たなくても体が食物を受け付けなくなると同時に、脳からモルヒネが分泌されて、苦痛から解放され、まどろみながら安らかにあの世に旅立つらしい。