Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

片割れ

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 その昔、二谷英明主演の「片翼だけの天使」という映画を観たが、今日のテーマは、これではなく「片割れ」。病気、老い、後悔など掲載テーマがネガテイブ過ぎるとのご批判をよそに、今回は、伴侶を亡くした時の心構えについて考えてみる。

 

 何気に何十年も夫婦をやっていて、突然、伴侶を亡くすと、その辛さから食事も喉を通らず、緊急搬送されることもあると聞く。知り合いのU氏は大手信託銀行の役員だったが、役員定年を迎え、夫婦で余生を楽しもうと住み慣れた横浜の戸建て住宅を処分し当方の自宅近くの新築高級マンションに夫婦ともども移り住んできた。

 

 ところが、転居して間もなく奥方が癌であることが判明。国立がんセンターで治療を受けたが、ほどなく帰らぬ人となった。そんな事情もつゆ知らずU氏宅を訪ねると、うす暗い部屋にコンビニ弁当を前に独り当人がうつむいている。声をかけると「これまですべて女房任せでやってきた。でも、いざ女房を失うと本当に辛い。食べるために生きているのか?生きるために食べているのか?が判らなくなる」と嘆いた。ほどなく、息子さん夫婦宅へ身を寄せたが、続いていた賀状のやり取りは、一昨年に急に途絶えた。

 

 地域の繋がりが薄れ、核家族化が進む中で遺族を支える人が減っている。2015年の国勢調査では、65歳以上で配偶者と死別した人は全国で約864万人。団塊の世代が70歳を迎えさらに増加の勢いだ。こうした遺族がサークルとなって励ましあう仕組みもあるが、悲しみは共有できても辛さは共有できない。

 

 こうした場面に限らず、そうした人に励ましや親切のつもりで周囲が「しっかりしなさいよ」「元気そうだね」「もっと大変な人がいるんだからまだましよ」「子供が大きくて良かったね」「あなたの気持ち良くわかるわ」等の声掛けは、遺族の気持ちを逆なでるだけ。

 

 聞くだけ聞いてあげて、そっと寄り添い手を握るだけで十分な癒しになる。旦那!!今からでも遅くないから奥さんの手を握ってあげたら・・・。

 

(今日のおまけ)

 最近まで勘違いしていた医療用語がある。「標準的治療」という用語だ、近親者の治療で医師からこの言葉を告げられた。素人ながら「普通の治療」「並みの治療」と思っていたが、実は大間違い。これまでの症例に基づいて、今できる「最善・最良の治療」を指すらしい。

 

 この標準治療があたれば確実に快復できる。母もこの治療方法で病は「完治」はしなかったものの「寛解」まで漕ぎつけた。重篤症例に対する治療に例外もあるが、患者に対する治療は、敗者復活戦のない一発勝負。どの医者にあたるかは別にして、その医者の診断、治療には素直に耳を傾けたほうがいい。その医者にあたるのも宿命と割り切った方がいい。