Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

僕チン2-1

 接種が契機となったのか…(C)共同通信社配信

 

【コロナワクチン接種後死亡を追う】

広島県在住の岡本裕二さんは、新型コロナワクチン接種3日後に自宅で亡くなった長男の死因を知りたくて、地元の自治体窓口に、「健康被害救済制度」の適用を申し出た。遺体を解剖した広島大学法医学研究室が示した死体検案書の死因は「不詳」。納得できず、手がかりが欲しくて、救済申請を思い立ったのである。

 

集団接種会場でワクチン4回目接種の翌朝に発熱。コロナに感染の山田邦子

 

 しかし、広大は、解剖後、採取血液や組織検体を使って病理検査の鑑定作業を続けていたが、半年過ぎても結果が出ず、必要な資料がそろわない。救済申請は止まった。

 今夏、一周忌が近づき、「仏前に何の報告もできないのは耐え難い」と岡本さんは警察に訴える。鑑定書がようやく届いた。

 

■接種が契機となった「可能性は否定できない」

 そこに記されていた死因は「全身性炎症反応症候群」。初めて目にする病名だ。ワクチン接種が契機となった「可能性は否定できない」が、判定不能とある。全身性炎症反応症候群(SIRS)は、サイトカインストームが進んで多臓器不全に至る恐れのある状態を指す。

 

本来はウイルスや細菌への生体防御を担うサイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)のうち、炎症性サイトカインが大量に放出されると過剰な炎症反応を惹起する。まさに「免疫暴走」。しばしば新型コロナ感染症の重症患者にみられるが、その免疫暴走がワクチン接種後に起きていた。

 

 ところが、鑑定書にはSIRSと推認した根拠が記されておらず、検査データも添付されていなかった。病理検査の資料がなくては、エビデンスとしては不十分だ。岡本さんは検査資料の開示を求めたが、話が進まず、事態は膠着した。

 

自治体の窓口を含めて、三すくみ、四すくみのような状態に陥り、救済の申請が滞る。その膠着状態を解きほぐしたのは、「新型コロナワクチン被害救済事例検討会」事務局長の高橋涼子弁護士だった。彼女は岡本さんを支えて病理資料の開示を実現している。その方法について、こう語った。

 

「まず、私たちは代理人弁護士として関係各所に連絡を重ね、なぜ資料の開示が進まないのか、どこに問題があるのかという膠着の原因を探りました。並行して、情報公開制度を活用したのです。資料開示を受けるまであきらめないという姿勢を貫きました。それが功を奏したのか、広島県警がご遺族に寄り添う姿勢を示し、資料の全面開示へ踏み切ってくれました。これで流れが大きく変わったのです」

 

こうして資料がそろい、自治体の窓口も、被害救済の申請を受理した。

一方、広大は、驚くべき症例報告を学術誌に投稿していた。岡本さんの長男を含む接種後に亡くなった若い男性4人を解剖。なんと全員がSIRSを発症と報告していたのだ。鑑定作業を介して、サイトカインストームの謎に迫っていたのである。 =つづく

(山岡淳一郎/ノンフィクション作家)