人間の五感ほど当てにならないものはない。目の錯覚、スギヨのカニ脚など、本物のカニと区別がつかない。それほど味覚もいい加減だ。一流のグルメ気取りの人も合成酒や本物のワインや日本酒さえ分らない。
耳も、舌感覚も、肌感覚も、全てがすり替えられても一向にその違いが分からない。でも、上手いや下手だけは素人でも判る。楽器や歌声のように上手い人は上手い。吹奏楽、ジャズ、ピアノ、オーケストラ、金管楽器、木管楽器に弦楽器に打楽器。その道のプロの音色や美声はスイングというか、五線譜の音符を綺麗に舐めていく。
絶対音感や音域なのか、強弱なのか、ピアニッシモからフォルテまでメリハリがある。
例えば、ストリートピアニストの「ハラミちゃん」も凄い。でも、いきなり有名人になったわけでもなく音大に進学して卒業したものの、挫折して一般企業に就職したもののが、「ついついやり過ぎてしまう」性格が災いし、体調を崩し休職。休職中は、「家族としか喋れなくてスマホも見られないぐらい落ちてた」状態であったそうだ。
休職中に懇意にしていた先輩の勧めで、「都庁おもいでピアノ」で演奏したのがストリートピアノのデビューのきっかけだ。
もうひと方、二宮 愛(にのみや あい)だ。作詞・作曲・アレンジメントを自らも手がけるシンガーソングライター、兎に角、唄が上手い。ひょっとしたら歌手本人より上手いかもしれない。
動画やユーチューブを観ながら「凄い、上手い、上手だ」と舌を巻く。バカがバカをやるのと利巧がバカをやるのとでは大違いだ。やっとこの歳になって、素直に感心させられる。そんな、感動や感銘を覚える機会が多くなった。そのうち笑いが少なくなった分、この先「涙もろく」なるかもしれない。