おいおい今日から皐月。五月になってしもうた!!」
昔お付き合いのあった彼女のお名前はともかく、知り合いに佳織、香織、香理、薫に老いにやり(老臭・加齢臭・腋臭)過ぎにはいろいろな匂があるものだ。幼きころ家出 をして一晩中麦わら屋根の中で過したあの孤独な世界。
例えば、車のなかの匂い。昔から住んでいた実家の匂や台処から漂う。まな板や、ナベ・瓶や釜のいとおしき香水、パフュームなど香ばしい香りもそうだ。
それほど体感や嗅覚は想像以上に頭や心に残るものだ。
亡くなりしお袋の乳の匂いやオヤジの体臭にポマードの髪の毛の臭さ。でも、ヘチマ棚の下の行水を浴びた香りなぞ中には懐かしい匂いもある。その臭いを嗅いだだけで想い出や記憶が蘇ってくるのだから不思議だ。そんななか、昔、こっそりと通った京橋界隈の個室居酒屋「かおり」の屋号の店を思い出す。
肌感覚以上に匂いというものは脳に焼き込まれるのが不思議だ。通勤途道すがらコンビ ニに寄って買っていた鮭握りやあの匂いと「かほり」。
今は遠くそれもない。時は流る如く淀みなくして、過去を流れ去る。「鴨の・・かよ」さて、さてこの先、我が身にどんな匂いが待ち受けているのだろうか?パフ、パフっつ!!!と。匂いがいまだに漂う。