「や」 は、「・・・や」、「しましょうよっ!」と声をかけるときによく使う。「えっぺやれや(一杯やりましょうね)」。「遊べや(遊ぼうよ)」。「食べりや(食べましょうよ)」もこの意の類。
「この桃、熟みすぎてやっけぇなあ」(この桃は熟しすぎて柔らけいなあ)、これも「やくなし」「役なし」。「役立たず」と同義。「やけっつる」も同じ発想の言葉だ。
「やだがる」や「やだかやあ」は「嫌がる」。「やだくてぇ」は「嫌だこと」に「嫌ですねえ」の信州訛り。どうやら、「やだこと、やだこと」は「ああ嫌だ、嫌だ」に漢字の「谷・谷地」や「湿地」に語源があるらしい。
さて、「や」行に続くのは「よ」だ。普通は「いいんじゃんねえ!!」 だが、これは「よいじゃねぇ~」ではなく「簡単ではない」と言うのが本来の意味。「容易じゃない」という言葉が甲信で訛ったものだ。「よーがんすか?」は、「よろしいですか?」というお断りの意味もある。「よーけっ」が訛ったらしい。「組長なったちまったら(よ)ーけな仕事ばっか増えたズラ」などの言い方もその典型例だ。
「(よ)ーでもねぇことすんな」(余計なことをするな)のはその典型。「雨降りそうだから洗濯物よせてくれや」(取り込んでください)、仲間に入れてと懇願することの言い回し。
でも、少しずれて「(よ)たコク」は、「でたらめ」、「ふざけた」、「くだらない」の意。
だから、今は政治も、メデイアも「(酔)た、こいている」がヒットする。でも、これが「(よ)ばれる」となると、いただく、ご馳走になるという意味に変化する。つまり。「ごっ(チャ)しゃんでゴイス」。の深謝、感謝の意に代わる。
でも、最近この「(よ)ばれる」の言葉がめっきりと少なくなった。と言うよりほとんど聞かれなくなった。「オラ方は『ずくがねえ』ズラか?」。「だっちもねえ、世界になっちもうったじゃんけ」の甲州弁で締めて・・・。