多くのお年寄りの死因は、最近、個人情報保護のせいか地方紙(サンニチ)のお悔やみ欄でも「死因や病死や事故しかも伝えていない」。その昔は「老衰」、「心臓病」とかが掲載されていたが、その後ほとんどの死因が「心不全」となる。
死因が病死であろうが事故死であろうが「心不全」でお亡くなりになるのは、誰もが納得するところだ。でもそれでも、亡くなったお歳が繋がらないので、おくやみ欄の死因に「心不全」ですら掲載は取りやめになった。10、20代の子供や若者が年若くして亡くなった場合、「突然死」もあるだろうが、九分九厘が「(交通)事故死」か「殺人」だろう。
そんなことは誰もが承知しているが、ご高齢者の死因は心臓病でもなければガンでもない。そのほとんどは「肺炎」だ。食べ物はおろか睡眠中に唾液の誤嚥によって肺炎を併発する。亡父も高熱を出しながらしばし入院後、この「誤嚥性肺炎」で亡くなった。最期は東京から急ぎ車を飛ばしたがスピード違反で捕まり、いくら警官に実情を話しても理解してもらえず切符を切られた。これで、親父とのお別れは叶わなかった。でも今でも遺体の脚のぬくもりは覚えている。
さて、こんな当方も嚥下が悪くなってきた。つまり、食べ物の飲み込みが難しくなってきた。だから、畳の上に布団を敷くこともなく、床を上げることもなく、物ぐさになって専らベッドで一日を過している。
これは医療行為する側の人間にとっても患者にとっても気楽で快適なのだ。でも、シーツの頭元にはキングサイズのバスタオルが覆ってあり、常に枕元にはフェイスタオルがある。何故なら、虫唾や胃液が就寝中に口から戻り、寝具が汚れないように配慮しているからだ。
それを当然と思っている当方。毎日、それを洗濯してパジャマを変えてくれるパートナー。もし、こうしたことが出来なかったら多分独りでは、ゴミの搬出もぉぼつかず、吐瀉物、汚物に糞まみれの生活にロクロク食事も口にできないだろう。
独居老人の孤独死に限らず、己の身体や精神を支えてくれるのは自分自身でもなく、周囲の好意や愛情があってこそ。だからお世話して頂く方は誰であっても感謝、感謝にシェイ、シェイ。そんななか、10月30日に小田貴月(たか)が著作発売した「高倉健、その愛!」を、ふと、なんの躊躇いもなく素直に読んでみたいと思た。
そんな姿を元妻の「故 江利チエミ」は何を思ふか?高倉の気持ちは何辺にあったのか?当方が健さんの映画で唯一心に残る映画は、ヤクザ映画でもなければ「ポッポ(鉄道)屋」でもなく「居酒屋 兆治」だけだ。そういえば酒に溺れ、酒に逃げた悲劇のヒロインを演じた大原麗子も今はこの世に居ない。ラストシーンで「ちあきなおみ」が出演していたのが懐かしい。