とあるパチンコやゲームセンターなどの娯楽施設の会員ポイントカードの発行申込書を路上で拾得した。住所、氏名、性別、職業、生年月日、作成日に携帯電話番号も記載されている「お客さま（控）」だ。意外に平成半ば以降に産まれた若い女性だ。こんなところにも、こんな名前の若女子が出入りしているのかと思うと、「へーえっ！！」と、その落差に驚かされる。
しかも入店時間、受付時間が平日の早い時間だ。こんな時間から何をしているんだ。しっかり仕事して働けよと思いつつ、金目ではないので警察や交番に届けるのを躊躇してしまった。これって正直いって後処理に困るよな。でも、これ悪意をもてば幾らでも金になりそうだ。
お住まいは我が町の隣町、容易に方角と場所は特定できる。しかも地番からして、アパートなどの集合住宅ではなく、戸建ての一軒家のようだ。しかも独身だということも簡単に類推できる内容だ。気軽に、うっかり路上や駅のゴミ箱に捨ててしまった個人の機微情報。その昔は、列車の網棚に置き忘れたＰＣやお店や外出先で失くした携帯電話。紛失した者からすればこの上ない恐怖と不安を覚える。当方にもそんな経験がない訳でもない。
もし、その実や臨場感を味わいたいなら一度、入館証、身分証明書や携帯電話を失くしてみるとその恐ろしさが身に染みて良く解る。
さて、ことは郵便ポストからの抜き取りに限らない。これだけネット、顔認証、防犯カメラの普及、ＮシステムやＡＩが発達してくると、ネットのアクセス情報、移動・運行記録やＤＭ情報から、個人どころか趣味・趣向、家族構成や学歴に業務経験、学力、得意範囲、性格までマルっとお見通しの世界に曝されてしまう。
ある日突然、新卒者への某企業人事部からの採用面談のお誘い、学校案内から先日の同窓会案内、見しらぬ人からの無言電話やアンケートまで、まあ、ヒキコモリであっても当人の通信記録や視聴番組から、間違いなく知らぬ間に丸裸にされ、無関係な他人から私生活が覗かれているのは間違いない。
さて、さて、これにどう対処するか？どんな秘密や浮気にしても、黙秘しても、知らぬぞんねぬのフリを決め込んでも、妻や関係者には見破られているものだと、覚悟を決めてておいた方がいい。そしてバレたら「ああそうでしたね！」と鷹揚な気持ちで対処した方が良さそうだ。
度肝を抜かれていい歳をした大人が「ドギマギ」するのも見苦しい。さて、拾った会員ポイントカードの申込書（控）。警察に届けるか？ゴミとして捨てるか？匿名で自宅に郵送してあげるか？彼女の携帯電話に連絡するか？どれをとっても一長一短。さて、貴方ならどうする。「何をいまさら歯周病のジロー」ではないが拾った当方の方が、それを失くした彼女以上に困惑している。
