Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

嗄声

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 これは「させい」と読みます。かすれ声、ハスキーといった方が解り易いでしょう。人間の体はホルモンに限らず、臓器の一部が微妙なところでバランスをとりながら自然に体の均衡を保てくれています。普通、それを自然治癒力とか自己免疫力とかの言葉に置き換えますが、身体にひとたびメスや薬剤が入ると、そう簡単に身体は元に戻りません。

 

 投薬も治療もそうですが、なにかを引き換え犠牲にしないと病気は治らないのです。こうしたお話をすると、また、いつもの病気と老いの話?「クドクて、しつこくて、また同じ話?もう、うんざり!」と嫌気を差されそうですが、しばしお時間を頂きまして・・。

 

 術前の同意書には、たっぷりと主治医からご説明をお聞きし、術後の後遺症、副作用や合併症のお話に対しは納得してサインいたしましたのですが、喰うに食えず吐くも吐たり、それに当方このところ次第に「お声」が出にくくなりまして・・。

 

 キッチンで家内が食器の水洗いなどをしているときなどは、ほとんど当方の声はかき消され、コミュニケーションがとれないことによってストレスも倍加するのでございます。

 

 空腹感、満腹感は消化器官にかかる問題なのでございますが、そのうえお話も通じないとなりますと、そのフラストレーションたるや皆様にはお分かりいただけないことでしょうね。咽頭がん喉頭がんの患者の予後は想像を絶します。声に罹る病気だけでも、声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯嚢胞、乳頭腫、喉頭アミロイドーシス、声帯白板症、声帯血管腫などさまざまでございます。

 

 当方の場合、右側の声帯がまったく機能しておらず、左の声帯だけが一生懸命頑張ってくれているそうで、誤嚥を防ぐために懸命に「左の君」が動いてくれているそうです。簡単に喉、咽頭、声などと片づけて「耳鼻咽喉科」で診察してもらえばと病気が治ると思うのは大間違いのようでございます。

 

 歌手の方々などは唄うことがお仕事ですから「お声」が出なくなったら、死活問題でしょう。時に、昨日は朝一番からご紹介いただいた某大学医学部付属病院の「ボイス・クリニック」でお喉を診て頂きました。 結構、この治療も奥深いものがございます。

 

 これまで、当たり前のように大声を出してお話できたときは、何の有難みもございませんでしたが、今回の診療、検査を通じて「声が出ること」の大切さを改めて知った次第でございます。「音」は、繊細さ、微妙さ、音域、領域、周波数など微妙な要素が絡み合って「オコエ」になります。「お声」の出る世界はガラス細工のようなもので、治療によっては「お声」は簡単に壊れてしまいます。

 

 ギャル曽根さまのような大食いの方がお喰べにならなくなった時、歌手がお歌を唄えなくなった時、咄家がオシャベリになれなくなった時、それはもう凡人の想像を絶する世界なのかもしれません。願わくば、あのカナリアの囀りをもう一度聴きとうございます。