Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

翳りゆく県都に思ふ

f:id:koushuya:20190306000405j:plain

 甲府市湯村の甲府富士屋ホテルの身売りにつづいて駅前の山交百貨店(いずれも国際興業グループ:山梨交通百貨店)が、今年の9月をもって閉店することが突然決まった。100人余の従業員も寝耳に水で戸惑いを隠せない。近年、郊外型の大型スーパーやネット通販に押され、閉店は時間の問題だと地元では噂されていたがついに万策尽きたようだ。

 

 記憶をたどる限り、これまでの60年間で、市内中心街で8つもの百貨店が潰れ、もしくは撤退した。松菱百貨店(旧松林軒)、中込、ダイエー西武百貨店、オギノと、百貨店に限らず時代とともに街中の老舗や専門店が次から次へと消えていった。残っている百貨店と云えば債務超過で再建中の「岡島百貨店」と駅ビルの「エクラン」の2店舗だけで街並も人通りも消えた。

 

 道路の拡幅や導線の一変化で、人の流れも交通の流れも変わり、とり残された街路は次第に朽ちていき、人影さえまばらとなる。シャッター通りに代表されるように、こうした現象は全国各地で加速度的に進行していて、そして地域ともどもお役所も一緒に沈んでいく。だが当の行政職員の危機感はことさら薄く、いずれその皺寄せで税収不足となって自分自身の生活に跳ね返ってくることさえ分かっていない。

 

    路線バスはおろか人が乗らない巡回バスやコミュニテイバス。デイサービスや病院に向かう専用バスだけは満員乗車で何台も通るというのに、路線バスのバス停で待つ人はほとんどいない。これでは街中が一年中「元旦の昼下がり」の状態で日本の北朝鮮と揶揄されても仕方がない。昼も夜も、貧相、閑散と静寂だけが街にあふれ、威勢がいいのは街角営業で働くヤンチャなバイトと高齢者向けの詐欺事件だけ。

 

    こうした状況がこうも続くと、やがて治安は悪化しゴミ収集などの行政サービスも劣化してくる。せまい地域の中でパイの奪い合いをしては共倒れになると分かっていてもそうせざるを得ない。人情深く隣近所の付き合いも良かったコミュニテイや地域の結束力が強かった所ほど、高齢化とともに惨たんたる状況を呈している。つまり消滅可能都市の前兆が市内のあらゆる所に見られる。

 

   こんな情況では、この地域で独り勝ちできる企業も、人もいなくなる。お役所だから・・、唯一の地元金融機関を標榜しているから・・、お堅い仕事だから・・とはいっても、それを担保するものは何もなく、すでに現実は後戻りできないところまできている。

 

    足元にあった水溜まり水は徐々に上がってきている。まだ、呼吸ができているので「大丈夫!」とは思ってはみても、気がつけばすでに口元まで水位はあがり、口呼吸はおろかやがて鼻でしか呼吸できず、果ては溺死に至る。

 

   その元凶を作り出したのは「人口減少」、「高齢化」と「人手不足」。半世紀以上も前からそれをいの一番に指摘し早急に対策を講ずるべきと政策提言した、かの堺屋太一先生も鬼籍の人となってしまった。どうにもこうにも、この先打つ手が見つからない。誰もが一回死んで来ないと答えは見つからないかもしれない。

 

  「オイ!そこのオマエ!!一回死んで来い!!!」、「オマエ、お前」のことだ!