がんが寛解しても、術後のリハビリは大変のようだし、かなりキツイとも聞いた。何しろ、臓器摘出後に健常者と同じかそれ以上の負荷を自らに課さなければ、関連死をも覚悟しなければならい。そう云ってがん治療を拒む患者もいるそうだし治療しようにも転移、再発すれば一巻の終わりだ。
さて、担当医の話を総合すると、どうやら、これまで保険適用にならなかったロボット支援下内視鏡手術(ダビンチ)が当方に施されるらしい。と勝手に思っているのだが・・? ただ、この手術は高難易度手術のひとつで、臨床試験を重ねてから認定、使用できるようになることから民間病院でも扱いは限られている。そりゃそうだわな、それを操作する職人みたいな医者がいなくてはダビンチがいくらあっても宝の持ち腐れだからな。
特に食道は前には肋骨と気管、後ろには背骨があって、周囲は肺、大動脈、心臓といった大事な臓器に囲まれている。だから余程のことでない限り超大手術となる開胸手術は行わない。でもダビンチを使わなくても医者の手を介した胸腔鏡・腹腔鏡を使った鏡視下手術であれば、がんの侵襲や患者の負担はダビンチ同様に半減する。
担当医からの説明を聞けば、患者は手術台に左胸を下に横向きに寝て、右手をバンザイした姿勢を維持したまま右脇下肋骨間に10ミリ程度の孔を数か所開け、そこから鉗子や内視鏡の付いたアーム(胸腔鏡?)を挿入、助手が別の孔から挿入した3Dカメラのモニターを見ながら遠隔操作しながら執刀医が手術をするとのこと。説明の内容からすれば間違いなくダビンチによる手術になるだろう(・・出来れば是非そう願いたい)。
ダビンチを使ってくれれば、リンパ節の郭清も容易で手術中の出血量や術後合併症の発生も少ない。先日、お知らせした反回神経マヒ(一時的に声がかれるか出ない:最悪の場合は気管挿管)や縫合不全も少ないと聞く。食道の構造は内側(上皮)から外側に向けて粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜に分かれていて、がんが外膜まで侵襲していれば、転移の可能性もあって鏡視下手術やダビンチ手術は行わないというか、行うことができない。
つまり、当方のがんのステージは固有筋層寸止まりの『T1b』との診断だから担当医の説明にも合点がいく。
今回の手術は食道を摘出後、胃臓の半分を切除して食道再建を行う10時間以上にも及ぶ大手術だ。でも、当方の運の強さか意外とギリのところで救われたのかもしれない。因みに保険適用このダビンチ、国内医療機関でも設置に限りがあって現在300台余りが活躍しているとのこと。
(今日のおまけ)
本日は午前11時から術中の大量出血に備えて事前の「血抜きの儀式」がある。貯血は4~6百CCというから献血をしに行くようなものだ。ただ、女性と違って男性は普段から血液を見慣れていないから、儀式の最中に卒倒して、「そっと、おやすみ」(唄:クニ河内)と相成るかも知れない。