Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

犯人製造機関

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  2000年12月末の世田谷一家殺人事件と同じく1975年5月に世田谷女児餓死事件があったのをご存じだろうか。世田谷区の高級住宅街で、某銀行の本店企画室次長が、当時2歳になる知恵遅れの次女を餓死させたとして殺人罪で逮捕された事件だ。

 

    当時は、「障害のある、無抵抗の幼児に、実の父親が食事を与えず餓死させた」、「東大卒のエリート銀行員が障害者の娘を虐待死させた」などという論調で報道機関はこの父親を叩きまくり、それに世間も踊らされた。大衆やマスコミは、悪は悪で叩き、常に弱者サイドに立つことを嗜好する。その結果、この父親に対して、苛烈なまでもの非難が集中した。

 

   その後、この娘さんは、医学的に食べ物を受けつけない状態(拒食症)にあったことが判った。この父親は最後まで、娘さんに少しでも食べ物を食べさせようと必死の努力をしていたことが判明したが、その努力の甲斐もなくその娘さんは亡くなってしまった。 それでもこの父親対して、世間はその行為を鬼の所業と断罪し、裁判でも父親の行為を「苦しみ悩んだ末の犯行」と認定、判決も執行猶予付き有罪とした。

 

   そしてこの父親は、判決当日の夜、小田急線に飛び込み自ら死を選んだ。 自殺翌朝の朝日新聞朝刊にも「無罪信じてショック」「ぼう然、悲しみ訴える妻」との見出しが並んだ。少なくともこの事件、当初の報道からは真相や事実は見えない。最近の新聞やテレビ報道の姿勢は経年劣化しバケの皮が剥がれつつある。

 

 「報道の自由」に名を借りた事実の歪曲、言論誘導、印象操作、虚言や妄想に近い内容や行き過ぎた取材活動も顰蹙ものだ。

 

   この事件を契機に、購読者や視聴者は警察発表や報道を鵜呑みにしなくなり、とくに週刊誌ネタのような出来過ぎたストーリー性のある記事や続報が無い報道は疑ってかかるようになった。繰り返しになるが、TVや報道が「こいつが悪い」と伝えれば善人でも悪人となり、反対に、「弱者」「可哀想に」と伝えれば世間は勝手にそれを信じ込んでしまう。

 

   残念ながら皮肉にも、この事件から20年後、再び「松本サリン事件」が起きてしまった。

 

(今日のおまけ)

   松本サリン事件:1994 年6月、長野県松本市で発生した被害は死者8人、重軽傷者660人。事件直後、被害者ながら事件への関与を疑われ“犯人”扱いされたのが河野義行氏。

 

    長野県警は執拗に取り調べを行い、マスコミも連日のように河野氏への疑いを記事にした。その上、本人が入院中も大勢の記者が病院に押しかけ、退院後も毎日報道陣が自宅を取り囲んだ。取材活動はさらに過熱化し、取材依頼の電話や嫌がらせの電話、脅迫状まで送られパニック状態となった。

 

    実は、お恥ずかしながら、ことあろうこの徳兵衛も野次馬の1人として河野氏の自宅を興味本位で覗きに行っていた。

 

   この冤罪、長野県警の初動捜査のミスとTV朝日の薬物専門家と称するコメンテーターの一言で一気に河野氏を犯人仕立てたばかりか、挙句にこの事件の14年後、サリン中毒による低能酸素脳症で意識が戻らないまま最愛の奥様を失くされた。