Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

集中治療室

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  スパゲッテイ症候群という言葉のとおり、集中治療室(ICU)は生死を分ける壮絶なドラマが繰り広げられている。患者の体からは、何本もの輸液チュウーブが装着され、人工呼吸器が装着されたりしている。心拍・血圧モニターが繋がれ昼夜を問わずピピッという音だけが途切れもなく鳴動している。

 

    緊急患者や末期患者がベットを並べ、看護師や医師が激しく行き交う。到底付添などは出来る筈もなく。感染予防のためのマスク、頭髪キャップにエプロン、消毒済のスリッパでなければ入室できない人の生き死にが、懸る壮絶な未知の領域だ。」

 

   今やICUにも、高齢化の波が押し寄せて、その昔まで工事現場で足を滑らせたり交通事故で運び込まれる患者は圧倒的に少なく、平均年齢が70歳を超える高齢者が集中治療室を占拠している。子供や働き手ならまだしも高齢者患者にひとたび気管内挿管をしようものなら、その命は延々と伸びながらえてしまう。これが皮肉にも医療現場の最前線の様子だ。

 

    さて、「医者の逆説」(里見清一:本名、國頭英夫)を読んだことは、お知らせの通りだが、折々に印象に残ったセンテンスがあったので、その一つを紹介したい。

 

  「後ろ暗いところがある人は攻撃的になる。親の面倒をもともと見ていなかった子供や、ろくに見舞いにも来ない身内に限って、やたらと医療スタッフにクレームをつけるのは殆どの医療従事者が経験している所である。(中略)何もしてやらなかった悔恨、どうにもできない無力感を、誰かにぶつけなければ気が済まないのである。逆に、それを自分にぶつけるくらい良心的な人は、鬱になってしまうのかも知れない。人間の中では無意識のうちに、凶事を他人のせいにすることによって自分を守ろうとする防衛反応が生じるらしい。 そして、そういう人達のほとんどが、意に沿わなぬ辛い闘病を続ける患者にかける言葉が『頑張れ』なのである。」

 

(今日のおまけ)   

   昨日、父兄(妻)同伴で検査結果を主治医から聞いた。副咽頭間隙腫瘍の腫脹は見られず、慌てて手術する必要もないという。神経鞘腫か耳下腺腫瘍かは術後に病理解剖しないと判らないという。そのうえ、この腫瘍「お稲荷さん」大のバーベル型腫瘍で、10年以上の歳月をかけて、やっとここまで育ってきたという。自覚症状は相当大きくならないと出ない類で、交通事故で病院に運びこまれてCTを撮って見つかることもあるという。 まあ、そう云われれば時宜を待って、事に及んだ方が良さそうだ。

 

    今春、この若い主治医は渡米し向こうの病院、研究機関に勤務するらしく、当方の次回検査までに再び主治医が代わる。診察室を出る間際に当方に主治医が声を掛けてくれた。「向こうで仕事を終えて僕が日本に帰って来たら、再び徳さんを診ますのでそれまでゆっくりと(腫瘍を)育てて上げてください」と。若い乍も中々にくい洒落をいう。医者は斯くあるべし。