今や歯医者は、夜9時まで診療はあたりまえ、歯科に限らず眼科や耳鼻科なども土日診療を行っている。受診者は圧倒的にお年寄りか子連だ。ただ、子供に関わる産婦人科や小児科は医師の数もさることながら、医療機関が自体が少ない。診療に優劣はないにしても予兆や前兆が出にくい突然の発熱や嘔吐などを併発する病は質が悪い。
独立行政法人成りしない公立病院の採算悪化が顕著だ。近隣市町村からの老人受診が多く、ベット稼働率も70%そこそこでは病院の運営は成り立たない。徳兵衛、退職して定期的な集まりも仕事もなくなった。暇の累乗ではいけないので、唯一こうして土日にわざわざ混んでる時間帯を狙って開業医を訪れるのが楽しみとなった。開業医は固定患者さえつけばウハウハだし口コミで患者はいくらでもやって来る。この開業医はドクター1名に看護師12名、待合室から患者が溢れている。稼働率も高く儲かってしょうがないだろう。
膠着運営の公立病院や診療科の少ない個人病院は、医薬分業もあって、どこも左前だ。とくにひどいのが歯医者だ。歯科医は全国の医師の倍以上の数がいるから閉院する先が多いこと、多いこと。医師会に加入していない勤務医も仕事も生活も苦しいと聞く。医療業界でさえこうしたまだら模様。その昔は、どの業界も護送船団方式で一番足の遅い者に合せて規制してくれた時代はこぼれる者もなく皆なハッピーだった。ただ、当時、その裏では相当の行政コストがかかっていたはずだ。今、そのツケけが廻ってきている。もう、国も行政も誰も助けてはくれない。弱き者から退場を迫られる淘汰の時代が目の前にある。
(今日のおまけ)
生きてる支えとなっていた人を突然亡くす時の喪失感は言葉では言い表せないそうだ。グリーフというらしい。若い女房を貰って、老後は女房に世話をして貰おうとの思惑が外れて女房の突然死。遺骨となって骨壺を抱きながら玄関を開けた瞬間に涙で泣き崩れる寂莫とした脱力感は相当らしい。
外出もできずに食欲は落ちて何もする気が沸かなくなるらしい。孤独死の一歩手前までいかないと昇華しないという。小さい子を残したまま旅立ったママ。父親一人で育てても子供の心の中は大人が想像する以上に繊細で複雑で読めない。後々、大人になって心の後遺症が出るのは当然かもしれない。
「亭主、元気で留守がいい」を志とし、女房や相棒、戦友には日頃から感謝の気持ちを伝えておきたいと痛感している。別離は突然やって来るのだから。眼科医院の混雑する待合室で、いつになく神妙な心持でブログを書いている徳兵衛がそこにいた。