徳兵衛夫婦、雀の涙ほどの年金でやっとの思いで生活しているが、そこそこ、並みの年金老夫婦だとも思っている。ただ、もし、夫婦のどちらかが事故に遭って寝たきりやアルツハイマー病にでも罹ったら、年金生活どころではない。そうした事態になったら間違いなく夫婦ともども下流老人になる。なぜなら下流層は様々な公的支援を受けられるが、中流層時代に夫婦で蓄えた資産を全て使い果たさないと、そうした支援は受けられない。
どんなに真面目に働いて長い間年金保険料を納め、老後の生活資金の準備をしたとしても、長い人生の中で何が起こるか、どんな不幸に襲われるか分らない。前述のように不慮の事故や病気で老後の資金を使い果たしてしまうかもしれない。そうなった時に心の拠り所となるところはない。いくら貯金や資産があってもいずれ限界が来る。
わが国日本にはオバマケアが目指した皆保険があり、生活保護や公的介護保険があるにもかかわらず、下流老人や下流に転落しそうな人の多くが生活苦の不安やストレスで追いつめられているのが現実だ。それはなぜかと言えば、人間として最低限の生活を保障するための現行制度が形式テンパイで真に機能してないからだろう。
だから、この徳兵衛も、もしかしてそんな事態になったら、精神的に追いつめられてうつ病になったり、自ら首を括ったり、家賃が払えずにコンビニ強盗をするかもしれない。
(今日のおまけ)
東京都内の高齢化は、地方以上に加速し深刻な状況だ。街角に若者の多くがたむろするシーンをTVなどでよく見るが、実は、こうしたお年寄りは、買い物のもできず、風呂にも入れないまま自宅で朽ちていくから、外ではあまり見かけない。スカイツリーが見える下町や高級住宅街で知られる世田谷、田園調布の事態はかなり深刻だ。
「ぴんぴんころり」と元気で長生きするためにスポーツジムやアウトドアスポーツを楽しむ中高年や老人をよく見かける。市や区から高齢者賞などを受賞すると有頂天になる老人も多いが、こういう老人ほど寝たきりになると心肺機能が強いだけに、なかなかお旅立ちをしてくれない。周囲の負担も重いので、余り元気すぎる中高年族も如何なものか?
医者に言わせると機能不全になって死に至らしめるには「ぴんぴんころり」とはいかず、死神はゆっくりと体を蝕んでいくそうだ。