Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

口は尻ほどにモノをいう

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 今日はタイトルとは違って少しマジメなお話。退院後アッという間に1か月が過ぎたが歯茎が腫れて出血もあったので、馴染みの歯医者に術後の経過と存命であることを報告に診てもらうことにした。

 

 患者のいない診察室に入って1時間余り、一通り当方の話が終わるまで中々診察が始まらない。どちらかというとT先生にとっては、診療は道楽のようにも見える。ところが、診断は意外と早く歯肉炎ではあるものの歯根が炎症しているようではないとのお見立て。どうやら原因は、歯と歯茎の狭い隙間から雑菌が侵入して炎症を起こしたとの由。

 

   ここからがT先生の説得性あるご説明。「食べ物を経口摂取しないと、口の中に雑菌が繁殖、普段食べ物を食べている時より数段不潔になるという。これにより肺炎の併発や糖尿病が悪化することもあって、時にはそれによって命を落とすこともある。でも、リンゴや柿などの固形物を食べたり、噛みきるような食べ物を食べただけ歯磨きと同じ効果があって口内の掃除や除菌にもなる。口から食べられない患者や歯磨きなどのケアをしない高齢者に新たな病気が発症するのもそのせいだ。食べても食べなくても、口腔ケアをしない口の中は尻の穴と同じで不潔極まりない。何もしない口の中は雑菌、溶連菌やバクテリアの棲み家だ。」とのご託宣。

 

    そう云えば、入院前、歯学部の附属病院で歯科受診をした際、患者の当方に学術研究に協力して欲しいとの協力要請があった。2つ返事でこれに応諾したが、実は「歯周病食道がんの発症には因果関係がある」という。そして、これをテーマに来年度学術発表するという。がんの発症原因はさまざまのようだ。

 

    お口に関連した想い出話を最後におひとつ。長野から当方宅に義母を引き取ったが、やはりこの件で義母は82歳で命を落としてしまった。カシューナッツが好物だった義母にカシューナッツだけを食べないようにとアーモンドやピーナッツを混ぜて菓子鉢に入れて出した。ところが、何が原因かは分からなかったがそれをキッカケに義母は一切食べ物を口にしなくなり、入れ歯を外して口の中を漱ぐことさえしなくなった。

 

    これが端緒になったのか義母が入院中、経口摂食できない嫌がる義母に看護師が治療の一環と称して、一日に何度も無理やりヨードで口腔ケアをしたことがあった。義母にとってそれは苦痛以上の何ものでなかった。それがトラウマとなったのか、それ以来吸い口の水さえも摂らなくなった。

 

   入院から3か月義母は点滴だけで命を繋いだ。入院中のある時、当方夫婦が付き添いをしている時に、入れ歯のない義母がいきなり口を開けて「パンが食べたい!!」と呟いた。必死にパン屋を探してカステラ・パンを買って、小さく千切って義母の口に入れてあげた。

   義母はそのパンを舐めるようにして、初めてその時、何度も何度も「美味しい」と云ってくれた。夫婦ともに夢と希望が持てた瞬間だった。

 

  でも、ほどなく義母は何も口にしないままそのまま旅立った。