西日本では三社詣と言って三つの神社をお正月にお参りするようだが東日本ではこうした風習は見当たらない。でも、和の東西を問わず御社には地(水)神さま、屋敷神さま、氏神さまやお宮や大社などがあって、それぞれの祠には別々の神様が祀られている。
その目的に応じてお詣先を変えても良いそうだが、毎年お詣先をコロコロ帰るのは身勝手で御利益も薄らいでしまうような気がしてならないので、お詣先は努めて変えないようにしている。
昔は、初詣をする先は振る舞い酒(御神酒)がある自宅近くの氏神さまに足繁く通ったが、呑み過ぎて事故を起こしてからは、それに懲りて、少し足を延ばしてその先にある弁天さまに夫婦でお参りするのが、恒例となっている。そして御祈願はこの身になってからは、「無病息災」とは虫が良すぎるので「家内安全」と「病気平癒」に。
でも、弁天さまの山門の敷居に脚を掛ける人やご本尊を前に二礼二拍手一礼をしながら柏手を打ちながら頭を垂れる参拝客を見ていると「オイオイ!それ違うだろ~っ!!」と嘆かわしくもなる。
次にお御籤。お参りの後には決まって破魔矢を買い求めお御籤を引く。生年月日を言ってお札をいただくのだが、お札はその年の運は性別と生年月日によって決まるといわれているからだ。
今年のお御籤は夫婦ともに「吉」。申しあげるまでもなく、吉は大吉に次ぐ幸運で伸びしろのある吉兆の籤と言われている。でも、昨年は小吉を引いた当方、残念ながら病魔に襲れたり、不幸に見舞われた一年だった。占いの目的が違えばお御籤の二度引きも良いというのだが、それはコチラの都合。当方、考えるにその年に引いたお御籤は翌年の吉凶を占うものだと信じ切っている。何故なら当方が一昨年引いたお御籤は見事に「(大)凶」だったからだ。
そして最後に「七草粥」の謂れ。セリ、なずな、ゴギョウ、仏の座・・・結局、お正月に食べ過ぎた胃腸を休めさせるために体に優しい御粥を食するというのが定説だ。だが、本来は官吏の立身出世を祈願して食するものらしい。当方、現在、経口・摂食訓練に励んでいるが、指導を受けた栄養士によると嚥下に、七草のような野菜、うどん、ラーメン、パン、肉や根菜類は不適で消化不良や嘔吐を起こす。実際に何気にモドスこともある。
いまさらだが、遠に退職した有閑無職の当方の身に「立身出世」なぞは無縁も無縁。さらに胃腸に優しい七草粥といえども空腹感を味わえない体には御無用。暴飲、暴食に明け暮れ酔いつぶれた昔がやけに懐かしい。