Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

漠然とした恐怖と不安

f:id:koushuya:20180924093800j:plain

 秋彼岸も今日でオシマイ。連休最後の薄っぺらい朝刊を斜め読みする。一面、二面と進んでいくうちに生活面(23面)の下欄に森永製菓の「アイス・ボックス」の広告が目に入った。

 

 そういえば今年の夏は猛暑続きで、生活面ばかりではなく農産物も多大な被害に遭った。毎年全国の知り合いに贈っている巨峰が全滅。手を尽くして勝沼産の「シャインマスカット」が何とか手に入り、お願いをして全国手配した。この「アイス・ボックス」も急激な需要増と電力不足による製造ライン停滞からやむなく生産中止に追い込まれた。

 

 こうなるとない物ねだりの庶民は俄然とこの商品が欲しくなる。やっと9月末の再デビュー、きっとこの秋でも売り上げは伸びるだろう。

 

 さて、この広告欄の上に眼をやると「ひととき」のコラムに一つの投稿があったので以下に引用ご紹介したい(9/24朝日新聞朝刊23面 投稿者:埼玉県所沢市 永吉美津子さん 無職67歳)。

 

 5月。私は至って元気で卓球三昧の日々を送っていた。ところが、とうとう私にも「二人に一人」の順番が回ってきたのだ。3、4日おなかがすっきりせず受診すると、難治性の胃がん、ステージ4、手術不可とのこと。医師の説明が遠くに聞こえ、頭の中を「末期がん=死」のイメージが駆け巡っていた。

 

 抗がん剤治療は受けたくなかったが、「放置すれば半年、治療すれば1年」との説明に、受けることにした。来春、孫娘が小学校に入る。それまではどんな姿になっていようとも生き延び「おめでとう」と言いたい一心である。

 

 ホスピス医に孫が6人いると伝えると「あなたの最後の仕事は、お孫さんたちに、あなたがしっかり死んでいく姿をみせること」と言われた。その言葉を消化できずにいると、夫がぽつりと言った。「しっかり死ぬことは、しっかり生きるということだよ」。なるほどと腑に落ちた。近づくXデーに心が揺れる日もあるけど、がんばろう。

 

 命果てる日。できることなら孫たちに死の恐怖を与えることなく、穏やかに旅立ちたい。「ありがとう、またね」とハイタッチして、静かに目を閉じたい。

 

 

 彼女に病気が見つかったのが今年の5月、今日は9月24日。まだ彼女はお元気のご様子だ。人は覚悟を決めて現実に向き合ったとき、かくも凛々しく逞しく美しくみえるのだろうか。弱きものは、いまだ漠然とした恐怖と不安に怯え覚悟ができない。