先日、いつものように早朝散歩をしていたら、犬HKの「ラジオ深夜便」から村木厚子のインタビュー放送が流れてきた。彼女は元厚生労働省事務次官のキャリア女性だ。標記の「凜の会事件」で警察に逮捕されたとき海外に勤める夫に「たいほ」とひらがなでメールを送ったことや、拘置所内の生活を赤裸々に語っていた。
拘置所内では週に2日の入浴はたかだか15分、7時半起床の9時就寝の生活規則には馴染んだものの、その間、検事は起訴に向けての連日の聴取。番組によると、検事の事情聴取の段階で検事はストーリーを描き、それに沿うように答え(自供)を求め、時に心が折れそうになったこともあったという。真偽のほどは分らないが、彼女は検察に「はめられたか?」、この事件は「事実だったのか」は未だかって、そのことは本人しか知りえない。
検察の聴取、裏取の杜撰さから彼女は結局、裁判では無罪になった。判決確定の翌日からの現場復帰は辛かったというが、検察の事情聴取でも、裁判でも、支えてくれたのは無実を信じてくれた家族や部下だったという。そうした拘留生活のなかで堪えられたのも家訓「綱渡り、下を見なけりゃ怖くない!」だったという。
当方なぞ、取り調べ室でかつ丼の臭いさえすれば、あってもなくても「私がやりました!」と取調官の尋問にそった自供をしそうだ。今や、高級官僚の人事異動は官邸主導。無罪放免になった彼女は政府の「女性の活用」のマスコットとして再登用されたが、一体あの事件は彼女を囮にしたドラマのようにも見える。
裏には障害者福祉などの社会・援護分野を支援する厚労省と財源ねん出しようとする財務省との、省庁間の熾烈な内部抗争があるようにも見える。そのために彼女をスケープ・ゴートと仕立て挙げたとすれば省庁間の省益にかかる問題を彼女ひとりが請け負ったのかも知れない。
いまや、彼女はNPO法人の役員や某大学の客員教授を務めているが、いつの間にかモリカケ・スパ問題は世間から忘れ去られ、またぞろ、冤罪や濡れ衣が横行。警察や司直が描いたとおりの筋書きにそって、無罪人が罪人となるようなことが進んでいるとすればこの世は空恐ろしい。
(今日のおまけ)
なんで、今日、こんなわけのわからないことを掲載したかというと、2000年3月に北海道恵庭市で会社員女性の焼死体が見つかった事件で、元同僚の女性が懲役16年の刑期を終え、出所後に再審請求を最高裁に特別抗告している。
刑期を終え出所した彼女がいまなお、無罪を主張するのは到底尋常とは思えない。さて、前述の村木女史と云い、この彼女といい、権力や支配力によって、誰(当局、警察)かがつくったシナリオに今日も誰かがハメられているような気がしてならない。