Koushuyaの徒然日記・オフィシャルブログ

多くの方々からブログ再開のご要望をいただき、甲州屋徳兵衛ここに再び見参。さてさて、今後どのような展開になりますやら。。

空蝉

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    家内の体調が芳しくない。ここにきて劇薬のプレドニゾロンが5㎎から15㎎と一気に3倍にまで処方されることになった。過去に彼女はパルス療法なる治療を受けこの薬を切るのに入退院を繰り返しながら1年半以上も要したことがある。だから、この薬の持つ強烈な副作用は夫婦ともども十分承知している。

 

   体調が不芳だと言っても、天気が荒れようと隔日実施している血液人工透析を休む訳にはいかない。さもなければ、尿毒症を併発して1週間程度で命が絶たれる。彼女の透析暦は20年にもおよび、その間シャントが潰れたこともなく何とかここまでやって来た。

 

   ただ、さすがに20年ともなると高血圧、強烈な頭痛、吐き気や極端な食欲不振にも陥り、若い時のような精気はあまり感じられなくなった。長期透析が誘因となって脳梗塞をはじめ様々な合併症が発症する。極端な例を挙げれば透析をしながらの手術をすることもある。実際、彼女も何回かこうした治療や手術を受けたことがある。

 

   健常者から見みればもう彼女の体はボロボロの状態だ。そうした中でも彼女は絶体に弱音を吐かないし泣き言も聞いたこともない。彼女のそうした気丈な振る舞いは、到底、当方がマネできるものでもない。

 

   いま、駅近のサテライトで1日4~5時間の人工透析を受けているが、終了して帰宅する頃には体はへなへなで、帰宅後も軽快に動くこともできず、夜まで立ち上がることもできないことはしばしば。そんな様子を間近で見ている当方としても、家事手伝いとは云っても、食器を洗うことや洗濯物を取り入れることぐらいしかできない。

 

   彼女は、すでに病院(本院)に対して、もしもの際にたっては「延命措置不要」の誓約書を提出している。問題は今のように意識と記憶がハッキリしているうちはいいが、意識が混濁、不明となった時に、医師に対して延命措置不要と血液人工透析の停止を誰が申し出るかだ。当然、透析を停止すれば数日で彼女は絶命する。

 

   そのジャッジ(決断)は、残された家族であり、最終的には家族の中でも当方に重い責任がのしかかる。いま目の前で心臓も呼吸もしながら生きている家内(患者)の「命を絶ってくれ!」と、そんな無情で無慈悲な宣告ができる自信も勇気もない。口では簡単に云えるが、イザその時になった時に誰かが、誰かの命を、それも愛する家族に対してその決断をしなければならない時が必ずやって来る。

 

   今は、そんなことは考えられないし考えたくもない。一生、贖罪の念にかられて生きていくのに堪える自信も勇気もない。

 

(今日のおまけ)

 それが彼女の遺言や生前の意思表示であったとしても、そんなことは認めたくもない。血液人工透析をしながら自宅介護や看護は無理だ。この猛暑の昼下がり当方の傍らで昼寝をしているやせ細った家内の体をみながら、将来に対する不安が頭をよぎる。

 

   これから当方の家族に辛い局面や境遇が訪れることは信じたくもないし、考えてもみたくもない。

 

  蝉の鳴き声が家の中にまで響いている。